インテル® Fortran ランタイムシステムは、いくつかの環境変数を認識します。これらの変数は、ランタイム診断のエラー報告をカスタマイズしたり、特定の状況下でプログラムを続行させたり、特定のダイアログボックスを非表示にしたり、Just-in-Time デバッグを実行するために使用できます。OpenMP* が使用するランタイム環境変数の一覧は、「アプリケーションの最適化」の「OpenMP* の環境変数」を参照してください。
コンパイル時の環境変数を設定する方法は、「コンパイル時の環境変数の設定」を参照してください。
ランタイム環境変数の例:
decfort_dump_flag
この変数を Y または y に設定すると、致命的なインテル® Fortran ランタイムエラーが発生した際に、コアダンプを行います。
F_UFMTENDIAN
この変数は、リトル・エンディアンからビッグ・エンディアンへの変換に使用されるユニット数を指定します。詳細は、「環境変数 F_UFMTENDIAN を使用する方法」を参照してください。
FOR_FMT_TERMINATOR
この変数は、特定のレコード区切り文字を持つユニット数を指定できます。「レコード型」を参照してください。
FOR_ACCEPT
ACCEPT 文では明示的な論理ユニット番号は指定されません。その代わりに、ACCEPT 文は暗黙の内部的な論理ユニット番号と FOR_ACCEPT 環境変数を使用します。FOR_ACCEPT が指定されていない 場合、ACCEPT f,iolist というコードは CONIN$ (標準入力) から読み取りを行います。FOR_ACCEPT が (オプションとしてパスを含むファイル名として) 定義されている場合は、指定されたファイルが読み取られます。
FOR_DEBUGGER_IS_PRESENT
この変数は、デバッガーでプログラムを実行していることを、Fortran ランタイム・ライブラリーに通知します。True に設定すると、致命的なエラーや連続エラーが検出された際にデバッグ例外を生成します。通常、Windows* システムでは、オペレーティング・システムからこの情報を抽出できるため、この変数を設定する必要はありません。Linux* および Mac OS* X システムでは、デバッグ例外を有効にする場合は、この変数を設定する必要があります。デバッガーでプログラムを実行していない場合にこの変数を True に設定すると、予期しない動作が発生します。
FOR_DEFAULT_PRINT_DEVICE (Windows のみ)
この変数は、DISPOSE='PRINT' 指定子 (CLOSE 文) で閉じられたファイルに対して、デフォルトの印刷デバイス PRN (LPT1) 以外の印刷デバイスを指定します。CLOSE 文の DISPOSE='PRINT' 指定子に関連付けられたファイルに対して別の印刷デバイスを指定するには、プログラムを実行する前に FOR_DEFAULT_PRINT_DEVICE を任意の使用可能な DOS 印刷デバイスに設定してください。
FOR_DIAGNOSTIC_LOG_FILE
この変数にファイル名が設定されている場合、指定されたファイルに診断出力を書き込みます。
Fortran ランタイムシステムは、そのファイルを開き (アペンド出力)、ファイルにエラー情報 (ASCII テキスト) を書き出そうと試みます。
FOR_DIAGNOSTIC_LOG_FILE の設定は FOR_DISABLE_DIAGNOSTIC_DISPLAY からは独立しているため、画面上での情報の表示を無効にすると同時に、エラー情報をファイルに収集することができます。ファイル名として割り当てたテキスト文字列はそのままの形で使用されるので、完全な名前を指定する必要があります。ファイルを開くことに失敗すると、エラーは報告されず、ランタイムシステムは診断処理を続行します。
「ランタイムエラーの場所を特定する方法」および「トレースバック情報の使用」も参照してください。
FOR_DISABLE_DIAGNOSTIC_DISPLAY
この変数は、すべてのエラー情報を非表示にします。この変数は、プログラムのエラー状態をテストすることだけが目的で、Fortran のランタイムシステムにプログラムの異常終了に関する情報は表示させたくない場合に便利です。
「トレースバック情報の使用」も参照してください。
FOR_DISABLE_STACK_TRACE
この変数を使用すると、致命的なエラー・メッセージ・テキストの表示の後に続くコール・スタック・トレース情報が表示されなくなります。
Fortran のランタイム・エラー・メッセージは、FOR_DISABLE_STACK_TRACE が True に設定されているかどうかにかかわらず表示されます。デバッガーでプログラムを実行している場合、Fortran ライブラリーによるスタックトレース情報の自動出力は、ノイズを減らすために無効にされます。スタックトレースを表示する場合は、デバッガーのスタックトレース機能を使用します。
「ランタイムエラーの場所を特定する方法」および「トレースバック情報の使用」も参照してください。
FOR_IGNORE_EXCEPTIONS
True に設定されていると、「Just-in Time」デバッグの許可といったデフォルトのランタイム例外処理が無効になります。ランタイムシステムの例外ハンドラーは、オペレーティング・システムに対して EXCEPTION_CONTINUE_SEARCH を返し、オペレーティング・システムは、この例外を処理する他のハンドラーを探します。
FOR_NOERROR_DIALOGS
True に設定されていると、特定の例外またはエラーが起こったときに、ダイアログボックスの表示を無効にします。これは、実行の失敗によりテストストリーム全体が停止することを防ぐために、多数のテストプログラムをバッチモードで実行する場合に便利です。
FOR_PRINT
PRINT 文でも WRITE 文でも論理ユニット番号の代わりにアスタリスク (*) を指定すると、明示的な論理ユニット番号は使用されません。その代わりに、どちらの文でも暗黙的な内部論理ユニット番号と FOR_PRINT 環境変数が使用されます。FOR_PRINT が定義されていなければ、PRINT f,iolist または WRITE (*,f) iolist というコードは、CONOUT$ (標準出力) に書き込みを行います。FOR_PRINT が (オプションとしてパスを含むファイル名として) 定義されていれば、指定されたファイルが読み取られます。
FOR_READ
READ 文で、ユニット番号の代わりにアスタリスク (*) を指定する場合、明示的な論理ユニット番号は使用されません。その代わりに、暗黙的な内部論理ユニット番号と FOR_READ 環境変数が使用されます。FOR_READ が定義されていない場合、READ (*,f) iolist または READ f,iolist というコードは CONIN$ (標準入力) から読み取りを行います。FOR_READ が (オプションとしてパスを含むファイル名として) 定義されている場合、指定されたファイルが読み取られます。
FOR_TYPE
TYPE 文では明示的な論理ユニット番号は指定されません。その代わりに、暗黙的な内部論理ユニット番号と FOR_TYPE 環境変数が使用されます。FOR_TYPE が 定義されていない場合、TYPE f,iolist というコードは CONOUT$ (標準出力) に書き込みを行います。FOR_TYPE が (オプションとしてパスを含むファイル名として) 定義されていれば、指定されたファイルが読み取られます。
FORT_BUFFERED
端末への出力を除いて、すべての Fortran I/O ユニットの出力には、ランタイム時にバッファー I/O を使用するように要求します。これは、-assume buffered_io (Linux および Mac OS X) または /assume:buffered_io (Windows) コンパイラー・オプションをサポートするランタイムメカニズムを提供します。
FORT_CONVERTn
特定のユニット番号 (n) に関連付けられた書式なしファイルのデータ書式を指定することができます。データ書式を指定する方法の詳細は、「データ書式の指定方法」を参照してください。
FORT_CONVERT.ext および FORT_CONVERT_ext
特定のファイル拡張子サフィックス (ext) を持つ書式なしファイルに対して、データ書式を指定することができます。データ書式を指定する方法の詳細は、「データ書式の指定方法」を参照してください。
FORT_FMT_RECL
書式付きファイルのデフォルトのレコード長 (通常は 132 バイト) を指定します。
FORT_UFMT_RECL
書式なしファイルのデフォルトのレコード長 (通常は 2040 バイト) を指定します。
FORTn
-fpscomp filesfromcmd コンパイラー・オプション (Linux および Mac OS X) または /fpscomp:filesfromcmd コンパイラー・オプション (Windows) が指定されておらず、OPEN 文でファイル名が指定されていないか、暗黙の OPEN が使用されたときに、特定のユニット番号 n に使用するファイル名を指定することができます。ユニット番号 0、5、および 6 に事前に接続されているファイルは、デフォルトではシステムの標準 I/O ファイルに関連付けられています。
NLSPATH (Linux および Mac OS X のみ)
インテル® Fortran のランタイム・エラー・メッセージ・カタログのパスです。
TBK_ENABLE_VERBOSE_STACK_TRACE
エラー発生時に、詳細なコールスタック情報を表示します。
通常は、デフォルトの簡単な出力だけで、エラーの発生場所を特定することができます。この簡単な出力には、スタックフレーム 1 つにつき 1 行で、20 個までのスタックフレームが含まれます。各フレームについて、実行ファイルの名前に続き、PC、ルーチン名、行番号、およびソースファイルが表示されます。
詳細出力を選択すると、簡単な出力で表示される情報に加えて、エラーが機械語例外だった場合には例外コンテキスト・レコードが表示され (マシン・レジスター・ダンプ)、個々のフレームについてリターンアドレス、フレームポインター、スタックポインター、およびルーチンに対するパラメーター (存在する場合) が表示されます。この出力はかなり長くなることがあるため (ただし 16K バイトに制限されます)、出力を正確に記録したい場合には環境変数 FOR_DIAGNOSTIC_LOG_FILE を使用することを推奨します。多くの場合、詳細出力を使用する必要はありません。
FOR_ENABLE_VERBOSE_STACK_TRACE 変数もまた、Compaq* Visual Fortran との互換性のために認識されます。
「トレースバック情報の使用」も参照してください。
TBK_FULL_SRC_FILE_SPEC
デフォルトでは、トレースバック出力は、ソース・ファイル・フィールドにファイル名と拡張子しか表示しません。パスを含む完全なファイル名情報を表示するには、環境変数 TBK_FULL_SRC_FILE_SPEC を TRUE に設定します。
FOR_FULL_SRC_FILE_SPEC 変数もまた、Compaq Visual Fortran との互換性のために認識されます。
「トレースバック情報の使用」も参照してください。
FORT_TMPDIR、TMP、TMPDIR、TEMP
スクラッチファイルの作成場所に、代わりの作業ディレクトリーを指定します。