-dyncom (Linux* および Mac OS* X) オプション、または /Qdyncom (Windows*) オプションを使用して、ランタイム時に COMMON ブロックを動的に割り当てます。
このオプションは、共通ブロックを動的にするために指定します。データ領域はコンパイル時ではなくランタイム時に割り当てられます。ダイナミック共通ブロックの宣言を含む各ルーチンへの入口で、共通ブロックの領域が割り当てられているかどうかがチェックされます。ダイナミック共通ブロックがまだ割り当てられていない場合は、チェック時に領域が割り当てられます。
次のコマンドラインは、ランタイム時に動的に割り当てられる共通ブロックの名前と、ダイナミック共用オプションを指定します。
ifort -dyncom "blk1,blk2,blk3" test.f (Linux および Mac OS X) ifort /Qdyncom"BLK1,BLK2,BLK3" test.f (Windows)
BLK1、BLK2、および BLK3 は、動的にする COMMON ブロックの名前です。
次に、-dyncom (Linux および Mac OS X) オプションまたは /Qdyncom (Windows) オプションを使用する場合に注意する必要のあるいくつかの制限を示します。
ダイナミック COMMON 内のエンティティーを、DATA 文で初期化することはできません。
指定された COMMON ブロックだけがダイナミック COMMON として指定されます。
ダイナミック COMMON 内のエンティティーを、スタティック COMMON 内のエンティティーまたは DATA で初期化された変数とともに EQUIVALENCE 式で使用することはできません。
詳細は、次のトピックを参照してください。
-dyncom コンパイラー・オプション
ダイナミック共通ブロックを使用する主な理由は、独自の割り当てルーチンによって共通ブロックの割り当てが制御できるからです。独自の割り当てルーチンを使用するには、そのルーチンを Fortran ランタイム・ライブラリーの前にリンクする必要があります。このルーチンは、正しいルーチン名を生成するために、C 言語で記述する必要があります。
このルーチンのプロトタイプは、次のとおりです。
void _FTN_ALLOC(void **mem, int *size, char *name);
各アイテムの意味は次のとおりです。
mem は、共通ブロックの基底ポインターの場所です。ポインターの参照先が割り当てられるブロックメモリーとなるように、ルーチンで設定しなければなりません。
size は、プログラム内で宣言され、コンパイラーが共通ブロックに割り当てる必要があると判断したメモリーのバイト数 (整数)。この値を無視して、目的に合った任意の値を使用できます。
割り当てる領域のサイズ (バイト数) を返す必要があります。_FTN_ALLOC() を呼び出すライブラリー・ルーチンにより、この共通ブロックを使用するほかのすべてのルーチンに対して、十分な領域が割り当てられます。size パラメーターの変更によって、割り当てる領域のサイズ (バイト数) を返します。
ランタイム・ライブラリー・ルーチン f90_dyncom は、メモリー割り当てを実行します。コンパイラーは、ダイナミック共通ブロックを含むプログラム内の各ルーチンの開始時に、このルーチンを呼び出します。次に、このライブラリー・ルーチンが _FTN_ALLOC() を呼び出して、メモリーを割り当てます。デフォルトでは、コンパイラーが、各ルーチンで宣言されたとおりの共通ブロックのサイズ (バイト数) を f90_dyncom に渡し、次にそのサイズが _FTN_ALLOC() に渡ります。別のルーチンにおいて異なるサイズで宣言された同じ名前の共通ブロックを持つ非標準の拡張を使用する場合、その共通ブロックの宣言を含むルーチンが呼び出される順序によっては、ランタイムエラーが発生する可能性があります。
Fortarn ランタイム・ライブラリーには、単に要求されたバイト数を割り当てて返す _FTN_ALLOC() のデフォルトのバージョンが含まれます。